業務フローの見える化で効率30%UP!現場実証のフレームワーク公開

「業務フローを作りたいけれど、何から手をつければいいかわからない」そんなお悩みはありませんか?

これから社内での業務改善をしたい方向けの「業務フロー図」の作成方法をお伝えします。
専門的なシステムの構築や、クライアントの要件定義を行うプロフェッショナルが行う場合とは違い、社内で要件定義を行う場合は、シンプルで簡単な業務フロー図の作成が望ましいと思います。

これから自社の業務改善に取り組みたい方のために、私たちが業務改善コンサルティング現場で実際に使っているシンプルな「四角と矢印だけ」で書ける業務フロー図のフレームワークを公開します。

  

 

複雑な図解ツールは不要で、この方法なら誰でも簡単に取り組め、即実践可能です。

よくある失敗は、業務フロー図を作らない状態での、システム化です。
業務効率化のために、システムを600万円ほどかけて導入した会社様で、システム導入後に業務フローにマッチせず、結局1秒も使わずそのままに終わりになってしまったこともありました。

業務フロー図を作成しておくと、こうしたシステム導入後の業務フローとのアンマッチを防ぐことができます。

また、これまで行ってきた業務の中で、不要な部分や削減しても良い部分が見えてきます。これまでの支援のなかで、平均して30~40%ほどのコスト削減につながっています。

業務改善をこれからする方はまず、業務フロー図を作るところから!
ぜひ、実践してみてください。

1.業務フローとは?

業務フローとは、業務の流れのことです。
業務は、それぞれ独立存在するのではなく、川の流れのように業務のはじめから終わりまでつながっています。

この業務の流れを図にしたものを「業務フロー図」と呼びます。

業務フロー図の書き方はいくつかありますが、今回は当社がDXコンサルの現場で実際に行っている業務フロー図の記述方法をご紹介していきます。

1-1.なぜ業務フロー図を書くのか?

業務フロー図とは、業務の流れを可視化した図のことです。

業務フロー図を書くと、社内での業務の流れが明確になり、業務効率化や業務改善の成功確率がグッと上がります。

  • DXの担当者になったけど、どこから手をつけたらいいか分からない
  • システム化したいけど、どの部分をシステム化すればよいのか分からない
  • 社内の業務が様々な人が関わっていて理解が難しい

こうしたお悩みをお持ちの方は、業務フロー図を作成することをオススメします。

書き方には、多くの本やノウハウがありますが今回ご紹介するのは「四角と矢印だけ」で業務フロー図を書く方法です。

 

なぜ四角と矢印だけで業務フロー図を書くのか?
社内の業務フローをまとめる上では、複雑な記法は必要ありません。
その理由は以下の3点です。

 

  • 書き方を覚えるよりまず書くことが大事
    条件分岐や繰り返し業務・データベースなど業務フロー図を書く上では様々な記法があります。しかし、社内の業務改善をする上では、書く人だけが一生懸命に記号を覚えても、他の社内の人が理解していなければ意味がありません

  • ヒアリングしながら業務フローを書くため
    業務フロー図は、ヒアリングをしながらその場で書くことが望ましいです。
    あとで図にしようと思っても、作業が膨大になりかなり大変です。
    聞いたものをその場で図にするには、簡単であることが重要です

  • 専門家に渡せば、正確な図にしてもらえる
    四角と矢印以外の記法で業務フロー図が必要になるタイミングは以下の通りです。
    ・システム連携や自動化の設計段階
    ・法的なリスク管理が必要な場合
    ・多くの部門が関わりフローが複雑な場合
    逆に、これらに関わらない場合は、複雑な記法は必要ありません。また、上記の場合も四角と矢印の業務フロー図をあらかじめ作成しておけば便利です。

業務フロー図を書こうとしても、書き方が難しそうだからやめておこうとはじめる前に諦めてしまう方をこれまで沢山みてきました。

業務フロー図は誰でも簡単に書けます。
はじめてしまえば、実は意外とできるので、まずはやってみましょう!

それでは、簡単に今日から始められる業務フロー図の書き方の手順とポイントを徹底解説します。

2.業務フロー図の書き方とポイント

「四角と矢印のみ」で書く簡単な業務フロー図の書き方を解説していきます。

2-1.業務プロセスを限定する

最初から、社内の全てを業務フロー図にすることはかなり難しいため、業務フローを書く範囲を限定して取り組みます。

「問い合わせ対応」を題材に、実際にとある会社の問い合わせ対応の業務フローを見てみましょう。
※これは一例です。あなたの会社の問い合わせ対応はどのような業務フローがあるかイメージしてみてください。

  • 電話で問い合わせを受ける
  • 問い合わせ内容をメモをする
  • 問い合わせ内容の判断をする
  • その場で回答できるものは口頭で対応する
  • その場で回答できないものは、一度折り返す旨を伝え、連絡先を聞く。
    この場合、連絡先を顧客ファイルに記入する。社内の詳しい担当に判断を仰ぐ
  • 問い合わせが完了したら、問い合わせ履歴のファイルに入力する
  • 対応した問い合わせ内容を日報にまとめて1日の終わり17時ごろメールで部長に報告する

上記の業務フローでは業務プロセスを以下のように定義できます。
業務のはじまり:電話で問い合わせを受ける
業務のおわり:対応した問い合わせ内容を日報にまとめて1日の終わり17時ごろメールで部長に報告する

業務プロセスを限定するポイント

業務フローを書き出す前には業務がどこから始まり、どこで終わるかを決めて図にしましょう。

そうはいっても、どの範囲の業務フローから手をつけていくのか?何もないところから考えるのは大変です。
そこで、法人向けのビジネスの場合と個人向けのビジネスの場合にそれぞれどのような業務が存在しているかを表にまとめましたので参考にしてみてください。

法人向けのビジネスの場合

法人向けのビジネスの場合、受注までのプロセスを中心に記載することで、業務効率化だけでなく、営業活動の改善に役立てたり、受注率改善のための策を練るために活用する場合があります。
営業の流れ(パイプライン)に合わせて、範囲を設定してください。

プロセスはじまり図にしたい業務の例おわり
お問い合わせお問い合わせの受領・企業情報の記録
・お問い合わせの対応方法
・担当者からの折り返しの流れ
お問い合わせの記録
お見積もり商談の設定・商談の記録
・提案書の送付
・見積もり内容の決定
・価格交渉
・見積書の作成
見積もりの送付
請求発注の確認・請求書の作成
・請求内容の確認
・企業ごとの支払い方法や条件の確認
請求書の送付
契約契約条件の確認・契約書の作成
・契約内容の確認
・承認手続き
・契約書の署名・押印
契約書の保管
納品納品準備・納品スケジュールの確認
・納品先の確認
・配送手配
・品質保証の確認
納品の完了
アフターサポート問い合わせの受領(サポート)・顧客企業の要望確認
・トラブル対応の選定
・定期的なフォローアップ
・満足度調査
問い合わせの記録更新

個人向けのビジネスの場合

個人向けのビジネスの場合、法人よりも繰り返し業務の量が桁違いに多い場合や、契約のプロセスに違いが発生する場合が多いです。
また、飲食店などの店舗のビジネスの場合は、バックオフィス(経理・労務・総務)の業務整理が中心になる場合が多いです。

プロセスはじまり図にしたい業務の例おわり
お問い合わせ顧客からのお問い合わせの受付・問い合わせ内容の記録
・FAQ案内や簡易サポート
・店舗内スタッフによる初期対応

お問い合わせの記録更新

予約・注文受付予約や注文の受付確認・顧客情報の記録
・予約・注文内容の確認
・確認通知の送信

予約・注文の確定

支払い・請求注文・サービス利用後・支払い手続きの案内
・レジ処理またはオンライン決済対応
・レシートや請求書発行

支払い確認・記録更新

契約(任意)サービスの利用前・利用規約の確認と同意取得
・簡易契約(必要に応じて)
契約内容の記録
サービス提供予約・注文の確定・サービス内容の確認
・予約時間に基づく対応
・アフターフォローの提供
サービス完了
経理月次処理または必要時・売上記録の管理
・収支管理と帳簿の更新
・月次・四半期の報告書作成

月次・四半期の報告書完了

労務月次処理または必要時・スタッフのシフト作成
・給与計算と振込処理
・雇用保険や社会保険手続き

労務関連の記録更新・報告書完了

総務必要時および定期的な見直し・備品管理と発注
・契約書や各種書類の保管
・法令遵守の確認(消防・衛生など)

必要書類の記録更新

アフターサポートサービス利用後または商品購入後・顧客からの問い合わせ対応
・返品や交換対応
・顧客フォロー(口コミ依頼など)

問い合わせの記録更新

2-2.ツールを選定する

業務フロー図の作成は、一人が業務フロー図を書く、一人が業務フローを話すという二人組で行います。
そのため、修正や記録が簡単なパソコンで作成することをおすすめします。

しかし、ブラインドタッチができない、パソコンが苦手という方はホワイトボードや模造紙でも大丈夫です。

パソコンを使って、業務フロー図を作成する時におすすめなツールを2つご紹介します。

  • Lucidchart(ルシッドチャート)
    出展:Lucidchart
    Lucidchartは無料でも使える、図形作成ツールです。
    当社でもご支援の際に実際に使用しています。このツールのままご支援先に共有させていただく場合もありますが、編集・確認も簡単にしていただいているので、使いやすくておすすめです。

    料金
    • フリープラン:無料
    • 個人プラン:1,300円/月×ユーザー数
    • チームプラン:1,500円/月×ユーザー数
    • エンタープライズプラン:要問い合わせ
    おすすめ企業
    • シンプルで簡単なツールを探している
    • 無料で使えるツールを探している
    URLhttps://www.lucidchart.com/
  • Canva(キャンバ)

    出典:Canva

    AIやテンプレートを活用しながら図を作成することができるツールです。
    ホワイトボード展開機能という機能もあり、チャートも簡単に作成できます。
    機能性もあり、業務フロー図だけでなく、業務のさまざまな場面で利用できます。

    料金
    • フリープラン:無料
    • プロプラン:1,180円/月×ユーザー数
    おすすめ企業
    • デザイン性の高い図を作成したい
    • 無料で使えるツールを探している
    URLhttps://www.canva.com/ja_jp/

ツール選定のポイント

業務フロー図は横や縦に長くなっていきます。
思考を拡げながら、業務フローを書いていける自由度の高いツールを選ぶことがポイントです。

パワーポイントやグーグルスライドを普段使っている方が多いかもしれませんが、業務フロー図を作る際には、少し使い方に工夫が必要です。
ツールを選定するときは、以下のポイントを参考にしてください。

  • 操作が簡単。業務同士を線でつなげる手間がない。
  • 画面の広さに制限がない(自由に広げられる)
  • 社内のメンバーと簡単に共有できる。

2-3.メンバーを集める

業務フロー図を書き出す作業は必ず2人以上でやりましょう。

  • ヒアリングをしながら業務フロー図を書く人
  • 業務フローの内容を話す人

業務フローに一番詳しい人に業務の流れを話してもらいながら、
ヒアリングする人は、図にまとめていきましょう。

メンバー集めのポイント

業務フロー図の作成は、社内に過度な負担をかけると、プロジェクトが頓挫する恐れがあります。
また、人数が多いと業務フロー図作成の途中で、話が脱線しがちです。
そのため、メンバーはできるだけ少人数で、その業務に最も精通しているメンバーを集めて実施することがポイントです。

2-4.ヒアリングをする

業務のヒアリングにはテクニックが必要となってきます。
ヒアリングのポイントをしっかり押さえながらヒアリングを行いましょう

  • 業務範囲を伝える
    漠然とあなたの業務について教えてくださいとヒアリングをすると、話す側もどこから話すか判断がつかなくなってしまいます。
    業務フローを話してくれるメンバーに、どの業務範囲をヒアリングしたいかを最初に伝えましょう。
    あらかじめ、業務フロー図に業務の始まりと業務の終わりだけを書いておき、この2つの業務の間の業務について教えてくださいと伝えましょう

  • 始まりから順番に
    範囲を確認したら、始まりの業務から順番を意識してヒアリングをしましょう。
    順番を意識せずにヒアリングを行うと、モレなく業務のヒアリングが難しくなります。

    基本的には、以下のようなヒアリングの流れになっていきます。

    図を書く人:「まず最初にどんな業務から行っていますか?
    話す人  :「こんな業務をおこなっています。」
    図を書く人:「そうしたら、次はどの業務を行いますか?
    話す人  :「こんな業務を行っています。」
    図を書く人:「この次はどのような業務を行いますか?

  • トリガー・条件を明確に
    特定の業務を発生させる引き金をトリガーと呼びます。
    業務をもれなくヒアリングするためには、業務がどのような条件で何を引き金として行われるのか漏れなく確認する必要があります。

    業務の例)
    注文を販売管理をしているエクセルに打ち込むという業務

    トリガーの例)
    電話の問い合わせがきたら業務を行う
    メールの問い合わせがきたら業務を行う
    毎週月曜日の朝9:00になったら業務を行う

  • リラックス
    業務フローを話すという状況はあまり日常業務で発生しない業務です。
    また、自分達が普段行なっている業務を明確に言語化しながら説明するということはなかなか難しいです。うまく話そうと緊張すると、黙ってしまったり、業務フローが全然出てこなくなってしまいます。
    そのため、うまく話そうとするのではなく、ざっくりでもいいから教えてください。
    と相手に伝えリラックスして取り組めるような状態を作ってください。

  • 繰り返しに注意
    業務フローを図にしたあと、業務改善を行う場合がほとんどです。
    その場合、繰り返し行われる業務は業務改善の対象となる確率が高いです。
    繰り返しの回数が多い業務については、より詳細にヒアリングをしましょう。

  • 時間を区切る
    社内の業務フローのヒアリングが負担にならないような時間を設定し、ヒアリングを行いましょう。
    業務フロー図の作成をはじめて行う場合は、直ちに効果がでる施策ではないため、社内での優先度を上げにくいです。
    そのため、最初の1回は30分程度でもかまいません。まずは形にしましょう。
    30分でも業務フローが図になって、図になるといろいろな課題が浮き彫りになるという成功体験がチームで共有できると、プロジェクトを進めやすいです。

2-5.業務フロー図を書く

業務フロー図を書き込むとき重要なことは、まずは全体を捉え、その次に詳細を書き込んでいくことです。
最初から完璧を目指さなくても大丈夫ということです。

完成のイメージが掴みにくいと思うのでサンプルの業務フロー図を書いていく流れを解説します。

業務範囲   :例)問い合わせの共有の流れ
業務のはじまり:問い合わせの対応
業務のおわり :営業に問い合わせ内容を共有する

以下が、顧客からの問い合わせを共有するまでの業務フローを書き出した場合の例です。


この段階では、このように書けばいいのかとイメージを持っていただければ大丈夫です。

四角と矢印だけで業務フロー図を書くときに意識することは縦と横への書き方のルールです。

  • 横方向に書くこと:時系列と順番
  • 縦方向に書くこと:手段と経路

業務フロー図の書き方のポイント

  1. 時系列と順番(横方向)の把握から始める
    まず業務全体のざっくりとした段階を時系列に合わせて横方向に四角と矢印をつなげて書きます
    まずは、大きく3〜5段階にわけて見ましょう。

    質問の仕方
    ”この業務を大きく3〜5段階に分けるとしたらどういう段階がありますか?”

  2. 手段と経路(縦方向)を網羅する
    業務の段階ごとにどんな手段があるかを書き出します。
    この場合、業務の段階ごとに縦方向に並列に記載していきます。

    質問の仕方
    ”この業務はどのような種類の手段に分けられますか?”
    ”この業務はどのような経路で発生しますか?”

  3. 再度、時系列と順番(横方向)を網羅する
    業務の手段ごとに、どのような流れで業務が処理されているかを記載していきます。

ここまでできたら、業務フロー図の作成は80%完成しています!

2-6.業務フローに詳細なメモを追加する

業務フローを書き出したら、より詳細な情報を書き込んでいきましょう。

業務フローの書き出し、確認したい5W1H
これらを全て網羅している必要は必ずしもありません。
しかし、業務フローをもれなく詳細に把握するための一つの考え方として、ご活用ください。

  • Who:誰が業務を行っているのか?
    →その人にしかできないのか?業務改善を行うときに誰に協力してもらうか?がわかる
  • Why:なぜその業務をやっているのか?
    →その業務が必要なのか?業務を変更した後どのような影響が起こるのか?がわかる
  • Where:どこで行われているのか?(本店・支店・リモート・現場など)
    →そこでやる必要はなにか?リモートにしてよいのか?などシステム化の要件がわかる
  • When:業務のタイミングや頻度(毎日、毎週、毎月、毎年など)
    →どれくらいコストが掛かっているのか?業務のボリュームがどれくらいか?がわかる
  • How:定型業務なのか、非定型業務なのか?
    どのような方法で具体的におこなわれているのか?がわかる

書き出した業務フロー図にどんどん付け足して詳細を把握できるようにしていきましょう。
全体像を一度書き出せば、後から詳細を付け足すのも容易です。
また、業務改善のヒントが見えるようになっていると思います。

3.まとめ

四角と矢印だけで作る業務フロー図の書き方を解説しました。
業務フロー図があるだけで、業務効率化やシステム化の成功確率が格段に上がります。
みなさんの会社でもぜひ30分だけでもいいのでまずは取り組んでみてください。
もし自社だけで取り組むのが難しそうであれば、当社の60分無料相談をご利用ください。
どこから業務フロー図にしていけばいいか?どのようなツールを使えばいいのかなどもアドバイスできるのでお気軽にお問合せください。

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