「案件管理って、具体的には何をやること?」
「案件管理を実践するコツや、役立つツールを探している」
営業活動において案件管理は非常に重要なプロセスですが、基本概念から実践方法までを体系的に理解している方は多くありません。
昨今、営業活動の効率化とデジタル化が急速に進むなか、案件管理のスキルを高めることは、営業部門および営業パーソンにとって必須の課題となっています。
適切な案件管理がなければ、営業活動の無駄や非効率を招き、売上低迷に直結しかねません。
この記事では、案件管理の基本的な考え方から、実践するための具体的な手法、活用すべきツールまでを網羅的に解説します。
最後まで読み終えると、組織および個人の案件管理の質が向上し、無駄のない的確な営業活動を行えるようになります。適切な案件管理によって、効率的に売上アップを実現しましょう。
目次
1. 案件管理とは?押さえておくべき基本概念
まずは、案件管理の基本的な概念から確認していきましょう。
1-1. 案件管理の定義
案件管理とは、営業活動において、見込み客の特定・商談の獲得から契約締結に至るまでの一連のプロセスを効果的に管理し、売上目標の達成を目指すための取り組みです。
案件管理は、営業活動の中核をなすプロセスであり、営業パフォーマンスを最大化するために欠かせません。
【案件管理の主要な要素】
- リードの特定:リード(見込み客)を見つけ出し、案件のきっかけを探ります。潜在ニーズを掘り起こして、新たな商談の芽を育てます。
- 商談化の判断:リードの中から有望な商談に発展しそうな案件を見極めます。案件の優先順位づけを行い、リソースを集中投下します。
- 提案と交渉:顧客のニーズに合わせたソリューションを提案し、条件交渉を行います。Win-Winの関係構築を目指して、粘り強く交渉に臨みます。
- フォローアップ:提案後の顧客の反応を確認し、次のアクションにつなげます。顧客との信頼関係を深めながら、確実に案件を前進させます。
- 契約締結:合意に達した内容で契約書を取り交わし、案件を成約に導きます。締結後のフォローを怠らず、顧客満足度の向上に努めます。
案件管理のプロセスを着実に回していくと、営業活動の「見える化」が進み、PDCAサイクルを回しやすくなります。
1-2. 案件と商談の違い:案件化のタイミングを理解する
案件管理の意義をより深く理解するために、「案件」と「商談」の違いを整理しておきましょう。
「商談」とは、具体的な案件について顧客と交渉を行うプロセスを指します。
一方、「案件」とは、商談の前段階から顧客のニーズを捉え、提案や見積もりの準備から商談までを含めた営業活動全般を指します。
【案件化と商談化のタイミング】
- 初期接触:営業担当者が顧客のニーズをヒアリングし、提案の可能性を探る段階です。この時点で案件化し管理を開始します。
- 情報収集:顧客の課題や要望をより深く理解するために、追加の情報収集を行う段階です。案件の具体化に向けて、関連部署とも連携します。
- 提案準備:収集した情報を元に、顧客に合わせた提案資料や見積書を作成する段階です。提案内容を社内で精査し、案件の優先度を判断します。
- 提案実施:顧客に対して提案を行い、フィードバックを得る段階です。顧客の反応を案件情報に反映し、商談へと進めます。
- 商談開始:具体的な受注に向けて顧客と交渉を開始した段階です。商談の進捗を管理しつつ、案件を詳細化していきます。
このように、案件化のタイミングを理解し、早い段階から案件を可視化して管理していくことが大切です。営業プロセスの川上から案件管理を徹底すれば、より効果的な営業活動が可能となります。
ただし、案件化や商談化の用語の定義は、業界や企業によって異なるケースがありますのでご注意ください。自社における定義を確認し、社内の共通言語を正しく扱えるようにすることが大切です。
1-3. 案件管理の目的と営業活動における重要性
案件管理の目的は、営業プロセスの可視化と最適化を通じて、効率的かつ効果的な営業活動を実現することです。
案件管理は、以下の点において非常に重要です。
【案件管理の重要性】
- 営業機会の見落としを防ぐ:案件情報を一元管理し、有望な営業機会を見逃すリスクを低減します。優先順位をつけて、確実にフォローすることを目指します。
- 無駄な営業活動を削減する:案件の進捗状況や優先度を明確にして、効果の低い営業活動に時間を取られることなく、注力すべき案件に集中できる体制を整えます。限られたリソースを有効活用します。
- リソース配分の最適化を図る:案件の状況に応じて、適切なタイミングで適切な人員を配置できるようにします。チーム全体で効率的に案件を進め、生産性の向上を実現します。
- 売上予測の精度を高める:案件情報を詳細に管理して、受注確度の高い案件を把握します。その結果、売上予測の正確性が向上し、経営判断の質が高まります。
- ナレッジの共有と継承を促す:案件管理の情報を営業チーム内で共有して、ノウハウの蓄積と継承を進めます。営業力の高い組織づくりを推進します。
このように、案件管理は営業活動における重要な基盤であり、売上拡大と生産性向上に直結するといえるでしょう。組織の営業力強化に欠かせない取り組みであることは間違いありません。
2. 案件管理の基本プロセスと管理項目の例
続いて、もう少し掘り下げて、案件管理の基本プロセスや管理項目を確認していきましょう。
2-1. 案件管理の基本的なプロセス
効果的な案件管理を行うには、管理プロセスを明確化し、必要な情報を漏れなく把握することが重要です。
前述の解説と重複する部分もありますが、あらためて、基本プロセスを整理しておきましょう。
【案件管理の基本プロセス】
- 案件の特定:営業活動の中から、案件として管理すべき案件を特定します。案件の定義基準を明文化し、営業チーム内で共有します。
- 情報の収集:案件に関する情報を幅広く収集し、案件カルテに集約します。顧客情報、ニーズ、提案内容、競合情報など多岐にわたるデータを網羅的に記録します。
- 進捗管理:案件の進捗状況を定期的に確認し、案件カルテを更新します。滞留案件にはすぐに対応し、進捗を促進するアクションを起こします。
- 課題解決:案件の進捗を阻害する課題を洗い出し、関係部署と連携して速やかに解決します。営業部門だけでなく、組織横断的な協力体制を整備します。
- フォローアップ:受注後も顧客とのコミュニケーションを継続し、追加提案やクロスセルにつなげます。案件管理の視点から、長期的な顧客育成を進めます。
2-2. 案件管理の管理項目
案件管理は、情報戦であるともいえます。取引開始前の情報が乏しい潜在顧客・見込み客の情報をいかに収集し、社内で共有できるかに、成約の成否がかかっているからです。
案件管理では、以下のような情報を適切に管理することが求められます。
【案件管理のおもな管理項目】
- 顧客情報:会社名・業種・規模・意思決定者・取引実績など、顧客の基本情報を正確に記録します。顧客との信頼関係構築に役立つ情報も大切です。
- 案件情報:案件名・提案内容・見積金額・成約確度・想定受注時期など、案件の概要と進捗を表すデータを管理します。定性情報も定量情報もバランスよく記載します。
- 活動履歴:訪問や提案の実施記録、顧客の反応、次のアクションなど、案件に関する活動内容を時系列で残します。振り返りや引き継ぎに活用できます。
- 商談状況:交渉の場や結果、受注までの課題、合意事項など、商談の詳細な内容を記録します。商談の場面ではとくに入念な情報管理が必要です。
- 競合情報:競合他社の動向、顧客への提案状況、自社との差別化ポイントなど、競合に関する情報も欠かせません。競争優位の源泉となるインサイト(洞察)を得られます。
これらを手作業で管理するのは難しいため、専用ツールを使って案件管理を行います。
ツールについては後ほど詳しく解説します。まずここでは、情報管理の重要性を押さえておきましょう。
3. 案件管理を実践する3つの具体的手法
次に、案件管理を実践するための具体的な手法について見ていきましょう。
ここでは、パイプライン管理、オポチュニティ管理、顧客関係管理(CRM)の3つの手法を取り上げます。
- パイプライン管理で営業プロセスを可視化する
- オポチュニティ管理で商談を最適化し可能性を最大化する
- 顧客関係管理(CRM)で長期的な関係構築を図る
3-1. パイプライン管理で営業プロセスを可視化する
1つめの手法は「パイプライン管理で営業プロセスを可視化する」です。
パイプライン管理とは、案件の進捗状況を営業プロセスの流れに沿って管理する手法です。リードの獲得から商談、受注、納品までの一連の流れを可視化し、案件を効率的に進められるようにします。
【パイプライン管理のステージ例】
- リード獲得:見込み客の情報を収集し、リストアップする段階です。Webサイトの問い合わせ、展示会の名刺、既存顧客の紹介など、リードのソース(情報源)は多岐にわたります。
- 審査・格付け:獲得したリードについて、顧客ニーズ、予算規模、購買時期など、案件としての魅力度を審査します。スコアリング(点数付け)などで優先順位を格付けします。
- 提案・見積作成:顧客ニーズを踏まえて、最適な提案内容を検討します。課題解決策、製品・サービスの特徴、導入効果などをまとめ、見積書を作成します。
- プレゼンテーション:提案内容をプレゼンテーション資料にまとめ、顧客先で説明します。顧客の関心事項や疑問点を丁寧にすくい上げ、提案内容の改善に役立てます。
- 商談・交渉:具体的な契約条件について交渉を進めます。価格、納期、体制など、詳細な詰めを行い、受注合意を目指します。
※上記はあくまで一例であり、実際には自社の営業プロセスに合わせてステージを設定します。
このように、営業プロセスのステージごとにマイルストーン(重要な節目や目標)を設定し、案件の進捗管理を行うのがパイプライン管理の特徴です。
各案件の進捗状況と滞留期間が一目でわかるため、迅速なフォローアップが可能です。パイプライン上の案件数と受注見込み額の集計データをもとに、売上予測の精度を高めることもできるでしょう。
3-2. オポチュニティ管理で商談を最適化し可能性を最大化する
2つめの手法は「オポチュニティ管理で商談を最適化し可能性を最大化する」です。
オポチュニティ管理とは、パイプライン上の個別案件に対して、より詳細な情報を管理する手法です。
オポチュニティとは、受注可能性のある個別商談を意味します。この管理手法では、オポチュニティごとに、顧客情報、提案内容、受注確度、予定受注額といった詳細情報を一元管理します。
【オポチュニティ管理の管理項目例】
- 顧客情報:意思決定者、キーパーソン、予算権限者、社内政治など、意思決定プロセスに関わる情報を整理します。
- 提案内容:顧客の課題、提案する製品・サービス、競合他社の動向、自社の強みなど、提案内容の要点を押さえます。
- 受注確度:商談の進捗状況に応じて、受注可能性を定量的に評価します。スコアリングの基準を設けて、確度の推移を追います。
- 予定受注額:提案内容と見積金額をもとに、受注した場合の売上高を予測します。キャッシュフローへの影響も考慮します。
- スケジュール:商談の次の展開(訪問、見積提出、プレゼンなど)のスケジュールを明確にし、タスク管理に活用します。
オポチュニティ管理では、これらの情報を定期的に更新しながら、きめ細かくPDCAを回していきます。
各商談の状況や課題を可視化し、打ち手を素早く実行に移すことによって、オポチュニティの成功確率を高めていくのです。
リソース配分や営業施策についても、オポチュニティ情報をもとに、現場感覚を反映した意思決定が可能になります。
3-3. 顧客関係管理(CRM)で長期的な関係構築を図る
3つめの手法は「顧客関係管理(CRM)で長期的な関係構築を図る」です。
顧客関係管理(CRM:Customer Relationship Management)とは、企業が顧客との関係性を構築・維持・強化するためのビジネス戦略、およびテクノロジーの総称です。
CRMは、顧客との長期的な関係性を築き、LTV(Lifetime Value:顧客生涯価値)を最大化することを目的としています。
【CRMの主要な要素】
- 顧客データの一元管理:顧客の基本情報、購買履歴、問い合わせ履歴、コミュニケーション記録などを一元的にデータベース化し、組織内で共有します。顧客の全体像を把握できる状態を整えます。
- コミュニケーションの最適化:顧客データを活用し、個々の顧客に合わせたパーソナライズ(個別最適化)されたコミュニケーションを行います。適切なタイミング、チャネル、メッセージで顧客にアプローチし、顧客満足度の向上を図ります。
- プロセスの効率化:営業、マーケティング、カスタマーサポートなど、顧客対応に関わる業務プロセスを標準化・自動化し、業務効率の改善と顧客対応品質の向上を実現します。顧客との接点を増やし、よりきめ細やかなサービスを提供できるようにします。
- データ分析に基づく意思決定:顧客データを分析し、顧客セグメンテーション、営業機会の特定、解約リスクの予測など、データドリブンな意思決定を行います。データに基づいた戦略立案により、限られたリソースを最大限に活用します。
CRMの実践は、顧客との接点で得られる情報を確実にデータベースに集約し、組織内で共有するところがスタートラインです。
営業、マーケティング、カスタマーサクセスなど、顧客対応に携わる全部門が連携し、一貫性のある顧客コミュニケーションを展開していきます。
以上、パイプライン管理、オポチュニティ管理、顧客関係管理(CRM)の3つの手法について概観してきました。
ここまでお読みいただき、「具体的に、これらをどう実装すればよいかわからない」という方もいるかと思います。
利用するツールの種別としては、パイプライン管理やオポチュニティ管理は「SFA(営業支援システム)」、CRMは「CRMシステム」の管轄となります。
続けて以下で、これらの専用ツールを使って案件管理の体制を実装していく進め方を解説します。
4. 専用ツールを使った案件管理の進め方
案件管理を適切に進めるには、そのための専用ツールを活用することが欠かせません。
ここでは、代表的なツールであるCRM(顧客関係管理)とSFA(営業支援システム)を取り上げ、導入時の留意点などについて解説します。
4-1. CRMを軸に顧客情報を一元管理する
前述の通り、案件管理において重要な要素のひとつが顧客情報の管理であり、それを効果的に実践するために有効なツールがCRMシステムです。
CRMシステムは、顧客との商談履歴、問い合わせ対応、販促活動など、あらゆる接点で得られる情報を一元的にデータベース化し、組織全体で共有・活用するために役立ちます。
【CRMシステムの主要機能】
- 顧客情報管理:顧客の基本情報(企業名・業種・規模・住所など)、担当者情報、取引履歴などを一元管理します。
- コミュニケーション管理:顧客とのメール・電話・訪問記録などの履歴を時系列で蓄積し、円滑なコミュニケーションを支援します。
- ドキュメント管理:提案資料・見積書・契約書などの各種ドキュメントをデータベースで一元管理します。
- ダッシュボード:案件の進捗状況・売上予測・パイプラインの分析など、視覚的に直感的に把握できるダッシュボード機能を備えます。
なお、ここで知っておきたいのは、近年、CRMシステムの機能や位置付けが大きく進化していることです。
かつて、CRMは顧客情報や顧客とのやりとりを管理することに特化したツールでした。現在では、マーケティングオートメーションや営業支援など、さまざまな機能と連携し、顧客との関係を強化するための包括的なプラットフォームへと進化を遂げています。
つまり、「CRMを導入するか?それとも、(後述の)SFAを導入するか?」という一方の選択ではなく、基幹としてCRMを導入し、CRMと各種ツールを連携させていく設計が多く見られます。
あるいは、SFAとCRMの境界線が曖昧になっているため、両方の機能を統合したツールも存在します。
4-2. SFAを連携させ営業活動を可視化・最適化する
続いて、CRMと連携させるSFAについて、確認しておきましょう。
SFA(Sales Force Automation)は、日本語では「営業支援システム」の訳語が使われています。
SFAは、営業担当者の日々の活動(訪問・見積作成・受注手続きなど)を効率化・自動化し、コアの営業活動に集中できる環境を整える役割を果たします。
多くのSFAには、先に解説したパイプライン管理やオポチュニティ管理の機能が備わっていますので、SFA導入によって高度な案件管理を実現できます。
【SFAの機能の例】
- 案件管理:パイプライン管理、オポチュニティ管理、リード管理、商談の進捗管理、受注・失注情報の管理など、案件の一連の流れをシステム上で管理します。
- 訪問・商談スケジュール管理:顧客訪問や商談のスケジュールを一元管理します。カレンダー機能やルート最適化機能などを備えます。
- 営業日報の作成:日々の活動報告を効率的に作成できるよう、データベースと連携した入力フォームやテンプレートが準備されています。
- タスク管理:案件を進めるために必要なタスクを登録・管理します。アラート機能で適切なタイミングの行動を促します。
- モバイル対応:スマートフォンやタブレットに対応したモバイルアプリによって、営業担当者の機動力を高めます。
4-3. CRM・SFAの具体的なツール例
「具体的に、CRMやSFAのツールとして、何があるのか?」という疑問が浮かんでいる方もいるでしょう。
近年、さまざまなベンダーからツールが発売されています。以下に、実績がある代表的なツールをまとめました。
【代表的なCRM・SFAツール】
ベンダー名 | CRM | SFA |
---|---|---|
Salesforce社 |
Salesforce
・世界シェアNo.1のクラウド型CRM ・幅広い業種・業態に対応 ・AIを活用した高度な分析機能も提供 | Salesforce Sales Cloud ・営業活動に特化したSFAツール ・AI搭載のインサイト機能なども提供 |
Microsoft社 | Microsoft Dynamics 365
・Office 365など、Microsoft社の各種サービスとのシームレスな連携が魅力 ・コストパフォーマンスにも優れる |
Microsoft Dynamics 365 Sales ・営業活動を支援するSFAアプリケーション ・Microsoft Dynamics 365 Customer Engagementの一部として提供 |
HubSpot社 | HubSpot
・マーケティングオートメーションと連携したインバウンドマーケティング志向のCRM |
HubSpot Sales Hub
・営業活動を支援するSFAツール ・HubSpot CRMとシームレスに連携 |
※ 上記は一例であり、ほかにも多くのCRM・SFAツールが存在します。
導入にあたっては、自社の営業の成熟度を見極め、最適なツール選びとシンプルな運用設計を心がけることが大切です。
4-4. 導入負荷を軽くしたい中小企業向けの選択肢
注意点として、中小企業がCRM・SFAを導入する際には、不必要な機能まで含む過剰さと、それに伴う割高感および使い勝手の悪さが障壁となるケースが少なくありません。
予算や人的リソースに限りがある中小企業にとって、大企業向けに設計されたツールの導入は、コスト面でも運用面でも大きな負担となりかねないのです。
そのような場合には、自社の営業にとって必要十分な専用システムを構築する選択肢があります。
【自社専用システムの特徴】
- 柔軟なカスタマイズ:営業の現場のニーズに寄り添った、無駄のない機能を備えたシステムを、スピーディーに実現できます。使い勝手を追求した、理想的な案件管理システムを構築できます。
- 段階的な機能拡張:すべての機能を一度に実装する必要はありません。まずは最小限の機能でスタートし、運用しながら徐々に改善を重ねる運用が可能です。
- 高い費用対効果:必要な機能に絞って初期投資を抑えつつ、高い運用効率を実現できます。パッケージ製品よりも優れたコストパフォーマンスを発揮することも可能です。
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5. 案件管理を円滑に進めるための3つのコツ
最後に、案件管理を円滑に進めるための3つのコツをお伝えします。
- ツール導入後の運用定着に注力する
- リアルタイム性を重視しタイムリーな情報更新を行う
- データを活用した意思決定を実際に実行する
5-1. ツール導入後の運用定着に注力する
1つめのコツは「ツール導入後の運用定着に注力する」です。
案件管理を円滑に進めるためには、ツールを導入するだけでは不十分です。いかに現場に定着させ、データとナレッジを蓄積し、営業力強化につなげられるかが勝負となります。
【ツール定着のための具体的アプローチ】
- トップのコミットメント:経営層自らがツール活用の重要性を発信し、組織を巻き込んでいきます。トップダウンの強いメッセージが、現場の意識改革を促します。
- 成功事例の共有:ツールを活用して成果を上げた営業担当者のノウハウを広く展開します。優れた活用方法を学び、各担当者が自分なりにアレンジして実践できるようサポートします。
- 適切な目標設定:ツール活用度の数値目標を設け、PDCAサイクルを回します。定量的な評価によって、改善のためのアクションプランを練ります。
- インセンティブの付与:ツールを積極的に活用し、営業成績を伸ばした担当者には、報奨金や表彰など、モチベーションアップにつながる施策を講じます。
- 継続的な啓発活動:ツール活用の意義や効果を、研修やeラーニングなどを通じて継続的に発信します。定着のためには、地道な意識づけが欠かせません。
ツールを営業活動に真に役立てるためには、導入時の教育だけでなく、日常的なフォローや働きかけが重要です。地道な取り組みを積み重ね、導入したツールを案件管理に欠かせない存在へ育てていきましょう。
5-2. リアルタイム性を重視しタイムリーな情報更新を行う
2つめのコツは「リアルタイム性を重視しタイムリーな情報更新を行う」です。
営業活動は刻一刻と変化するため、案件情報もリアルタイムの更新が不可欠です。情報の鮮度を保つ取り組みが、適切な意思決定やアクションにつながります。
【情報更新を習慣化するための工夫】
- スマホ対応の推進:外出先からでも、スマートフォンで手軽に入力できる環境を整えます。専用アプリの導入や、レスポンシブデザイン(デバイスの画面サイズに応じて表示を最適化する手法)の採用などが有効です。
- 音声入力機能の活用:テキスト入力が面倒な場合は、音声認識による入力も選択肢に加えます。商談直後の車中などで、スムーズに入力できるようにします。
- 定期的なアラート配信:一定期間、案件情報が更新されていない営業担当者に対して、更新を促すアラートメールを自動配信する仕組みを設けます。
- 更新状況の可視化とフィードバック:案件情報の鮮度を指標化し、部署ごと、個人ごとに「見える化」します。改善が必要なケースにはフィードバックを行います。
情報をタイムリーに更新するためには、日々の営業活動にしっかりと組み込んでいく必要があります。システム面、運用面の両面から、更新を習慣化する土壌を形成しましょう。
鮮度の高い情報があってこそ、案件の最新状況を常に把握し、的確なフォローが可能となります。
5-3. データを活用した意思決定を実際に実行する
3つめのコツは「データを活用した意思決定を実際に実行する」です。
案件管理システムに蓄積したデータは、営業戦略を練るうえでの重要な材料です。データから得られる示唆をもとに、スピーディーかつ的確な意思決定を下していくことが大切です。
【データ活用の意思決定プロセスの例】
- 重要指標の設定:受注確度、売上規模、営業工数など、意思決定に必要な指標を設計します。何を重視してジャッジを下すのか、あらかじめ定めておきます。
- 多面的な分析:案件データをさまざまな角度から分析します。商材別、顧客セグメント別、営業担当者別など、切り口を変えて傾向や特徴を読み解きます。
- シミュレーションの実施:追加の販促施策を打った場合や、リソース配分を変更した場合など、さまざまなシナリオを想定して、最適解を導き出します。
- 会議体での議論:関連部署を交えた会議の場で、データ分析の結果をオープンにします。データに基づいた建設的な議論を重ね、意思決定の精度を高めていきます。
- PDCAサイクルの徹底:データから導いた施策は、実行後も効果検証を欠かしません。狙い通りの結果が出ているか、継続的にモニタリングし、軌道修正を図ります。
データとロジカルシンキングに裏打ちされた意思決定は、案件管理を成功へと導く原動力となるはずです。
6. まとめ
本記事では「案件管理」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。
最初に案件管理の基礎として以下を解説しました。
- 案件管理とは、営業活動における初期接触から商談開始以降までの流れを効果的に管理する取り組み
- 案件管理は営業活動における重要な基盤であり、売上拡大と生産性向上に直結する
案件管理を実践する3つの具体的手法として、以下を解説しました。
- パイプライン管理で営業プロセスを可視化する
- オポチュニティ管理で商談の最適化と可能性を最大化する
- 顧客関係管理(CRM)で長期的な関係構築を図る
専用ツールを使った案件管理の進め方として、以下のポイントを解説しました。
- CRMを軸に顧客情報を一元管理する
- SFAを連携させ営業活動を可視化・最適化する
案件管理を円滑に進めるための3つのコツは、次のとおりです。
- ツール導入後の運用定着に注力する
- リアルタイム性を重視しタイムリーな情報更新を行う
- データを活用した意思決定を実際に実行する
営業活動の成否は、案件管理の質に大きく左右されます。本記事を参考に、案件管理のレベルアップを図っていただければ幸いです。
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