「営業の管理が行き届かずに、さまざまな問題が露呈している」
「そもそも、営業管理はどのように進めればいいのだろうか?」
このような疑問を抱えている方は、少なくないでしょう。
営業活動は企業の売上を左右する重要な業務ですが、適切な管理ができていないと属人的になり、生産性が下がってしまいます。近年、営業管理への関心が高まっているのはそのためです。
この記事では、営業管理の基本的な考え方から、具体的な実践手法、ツールの活用方法までを、わかりやすく解説します。
営業管理の基本を押さえ、自社に適した手法とツールを導入すれば、売上向上を実現できます。
この記事を最後までお読みいただき、営業管理のポイントを把握して、営業チームのパフォーマンス向上にお役立てください。
1. 営業管理とは何か
効果的な実践への第一歩は、営業管理の本質を理解することです。まずは、営業管理の定義と目的、重要性、基本要素について解説します。
1-1. 営業管理の定義と目的
営業管理とは、営業活動を組織的に計画・実行・評価・改善していくプロセスを指します。
具体的なアプローチは後述しますが、以下が基本となります。
何のために営業管理をするのか、その目的としては、以下が挙げられます。
【営業管理の目的】
- 売上目標の達成:個人と組織の目標を設定し、達成に向けて営業活動を最適化します。目標管理により営業担当者のモチベーションを高め、高いパフォーマンスを引き出します。
- 営業の見える化:活動内容や進捗状況、成果を可視化し、適切な判断を下せるようにします。データに基づく意思決定で、効果的な施策を迅速に打ち出せる体制を整えます。
- 属人化の解消:ノウハウや顧客情報を共有し、担当者が代わっても営業力を維持します。チーム全体の生産性を高め、顧客対応の質を均一化します。
- 生産性の向上:無駄な活動を削減し、限られたリソースで最大の成果を生み出します。営業プロセスの効率化により、一人あたりの売上高を引き上げます。
- 顧客満足度の向上:顧客のニーズに合わせたアプローチで、長期的な関係を築きます。きめ細やかな対応とサービス品質向上で、顧客ロイヤルティ(顧客の信頼・愛着度)を高めます。
つまり、組織全体の営業力強化と顧客満足度向上を目指し、その結果として売上アップを実現するのが営業管理の役割です。効果的な営業管理は、持続的な成長の源泉といえるでしょう。
1-2. 営業管理の重要性と組織へのメリット
営業管理を適切に行うことは、以下のような組織的メリットにつながります。
【営業管理の組織的メリット】
- 意思決定の迅速化:営業活動の現状が把握でき、適切なタイミングで戦略の修正が可能になります。環境変化に素早く適応し、チャンスを逃さずビジネスを加速できます。
- チームワークの強化:情報共有とコミュニケーションが活発になり、メンバー間の連携が深まります。部署間のシナジーが生まれ、組織力が向上します。
- 人材育成の効率化:ナレッジの蓄積と共有により、新人の早期戦力化とスキル向上が進みます。担当者の入れ替わりがあっても、ノウハウが引き継がれ生産性を維持できます。
- リスク管理の徹底化:不適切な営業活動を発見・是正でき、コンプライアンス違反を防げます。企業の信頼を守り、安定した経営を支えます。
- ブランド力の向上:質の高い営業活動により、顧客からの信頼と企業の評判が高まります。ブランド力は競争優位の源泉です。新規顧客獲得や他社との差別化に役立ちます。
営業は個人の力量に依存しがちな業務だけに、組織的な管理によって全体のレベルアップを図ることが不可欠だといえます。営業管理は、企業成長に欠かせない経営基盤なのです。
1-3. 営業管理の基本的な3つの考え方
営業管理を効果的に実践するには、基本的な考え方を理解することが重要です。
そのベースには、可視化・標準化・効率化の3要素があります。
【営業管理の基本要素】
- 可視化:営業活動の進捗状況や成果を数値化し、見える化します。営業プロセスを細分化し、各ステージでの活動状況を把握できるようにして、問題点の発見や改善策の立案がしやすい状態を作ります。
- 標準化:標準化とは、営業プロセスを統一しルール化することです。具体的には、営業マニュアルの作成や研修の実施などが含まれます。ベストプラクティス(最も効果的で実践的な方法)をチームで共有して、優れた営業手法を社内で横展開し、全体のスキルアップを図ります。
- 効率化:営業活動の無駄を省き、生産性を高めます。ITツールの活用により、営業事務作業の自動化や情報共有の迅速化を実現します。限られた時間とリソース(人材や資金などの資源)を有効活用し、より多くの商談機会の創出を目指します。
これらの基本要素を踏まえた営業管理を行えば、営業チームのパフォーマンスを最大化できるでしょう。
具体的なアプローチは、以下に続きます。
2. 効果的な営業管理の5つの基本アプローチ
営業管理には、大きく分けて5つの基本的なアプローチがあります。それぞれの特徴と実践のポイントを解説します。
- 目標管理でモチベーションを高める
- 案件管理で受注確度の高い営業活動を実現する
- 行動管理で無駄のない営業プロセスを構築する
- 顧客管理で継続的な売上を生み出す
- ツールを活用した情報共有とデータ分析を進める
2-1. 目標管理でモチベーションを高める
1つめのアプローチは「目標管理でモチベーションを高める」です。
目標管理は、適切な目標設定とフィードバックによって、営業担当者のモチベーションを高める手法です。
【目標管理の実践ポイント】
- 目標の適切性:達成可能かつ挑戦的な目標を、営業担当者(メンバー)と協議の上で設定します。メンバーの納得感を醸成し、当事者意識を引き出すことが鍵です。
- 目標の具体性:売上金額や件数、行動数など、数値化した目標を明確に示します。評価指標を可視化し、メンバーが目標達成の道筋をイメージできるようにします。
- 目標の納得性:メンバーが腹落ちし、主体的に取り組めるよう丁寧に説明します。目標設定の背景や意義を共有し、メンバーのコミットメントを引き出すことが重要です。
- 進捗の定期的な確認:日報や週報、面談などを通じて進捗を把握し、軌道修正します。計画と実績の差異を定期的にチェックし、早めの対策を打つことが求められます。
- 達成度の評価とフィードバック:成果だけでなく、そこに至るプロセスも丁寧に評価します。メンバーの頑張りをしっかりと称賛することで、自発的な行動を促せます。
適切な目標管理は、営業担当者のやる気を増幅させ、高いパフォーマンスを引き出します。適材適所の目標設定と、メリハリの利いた評価がポイントです。
一方で、上から押し付けた非現実的な目標設定は逆効果になるため、慎重に運用する必要があります。担当者のスキルや顧客の特性、競合の動向なども加味しながら、無理のない目標を設定することが大切です。
2-2. 案件管理で受注確度の高い営業活動を実現する
2つめのアプローチは「案件管理で受注確度の高い営業活動を実現する」です。
案件管理は、商談の進捗状況を見える化し、受注確度の高い営業活動を行う手法です。
【案件管理の実践ポイント】
- 商談ステージの設定:商談の進捗を営業プロセスに沿ったステージで管理します。ステージごとの目標と行動基準を明確にし、担当者の行動を最適化します。
- 案件情報の見える化:商談の概要や予算、スケジュール、成約確度などを共有します。案件の現状と課題を明らかにし、チーム全体で対策を検討できるようにします。
- 案件の優先順位付け:受注確度や規模、戦略的重要性などをもとに、注力案件を絞り込みます。リソースを集中投下すべき商談を見極め、メリハリをつけることが重要です。
- アクションプランの策定:案件ごとの課題を洗い出し、打ち手を具体的に計画します。ToDoリストを作成し、スケジュールに落とし込んで着実に実行に移していきます。
- 受注予測の精緻化:確度の高い案件を積み上げ、より正確な売上予測を立てます。リアルタイムの予実管理(計画と実績の差異を把握し、分析・改善するプロセス)により、計画達成のための方策を迅速に打ち出せるようにします。
案件の見極めや営業手法を個人任せにせず、組織として、最適なタイミングでのアプローチを管理することがポイントです。
ただし、案件の進捗ステージを細かく設定しすぎると管理が煩雑になり、逆に現場の負担が増大するため注意が必要です。営業活動の実態に即した、シンプルで運用しやすい仕組みを構築することが望ましいでしょう。
2-3. 行動管理で無駄のない営業プロセスを構築する
3つめのアプローチは「行動管理で無駄のない営業プロセスを構築する」です。
行動管理は、営業担当者の行動を定量的に把握し、効率的な営業プロセスを構築する手法です。
【行動管理の実践ポイント】
- 行動基準の設定:営業活動の質を担保するための行動基準を設けます。訪問や提案など、各活動の目的と要件を具体的に定義し、担当者間で徹底します。
- 行動ログの記録:訪問件数や商談件数、提案件数など、担当者の行動を数値化して記録します。活動量と成果の相関を可視化し、改善のヒントが得られるようにします。
- 非効率な活動の削減:受注につながりにくい活動を分析し、効率化や削減を図ります。顧客の反応が芳しくない訪問パターンなどを特定し、アプローチを改善していきます。
- ナレッジの共有と活用:効果的な営業手法や成功事例を共有し、互いに学び合える環境を整えます。優れた取り組みを横展開し、営業プロセス全体の底上げにつなげます。
- PDCAサイクルの実践:計画と実績の差異を検証し、営業プロセスの継続的な改善を図ります。仮説検証を繰り返しながら、より効率的で効果的な営業スタイルを追求していきます。
行動管理により属人化を防ぎ、無駄のない最適な営業プロセスを構築できます。限られたリソースを有効活用し、生産性の高い営業活動を実現可能です。
ただし、行動の数値化だけにとらわれ過ぎると、形式的な活動に陥るリスクもあります。数字だけでなく、行動の質にも着目し、バランスの取れたマネジメントを心がける必要があります。
2-4. 顧客管理で継続的な売上を生み出す
4つめのアプローチは「顧客管理で継続的な売上を生み出す」です。
顧客管理は、顧客情報を一元的に管理し、顧客化からリピート受注・追加受注まで長期的な関係構築を目指す手法です。
【顧客管理の実践ポイント】
- 顧客情報の一元管理:基本情報や商談履歴、課題などの顧客情報をデータベース化します。担当者が入れ替わっても、スムーズに引き継げるよう情報を集約しておきます。
- 顧客の問題意識の深堀り:顧客の悩みや要望をヒアリングし、真の課題を明らかにします。表面的なニーズだけでなく、深層心理まで探ってデータベース化していくと、最適な提案が可能になります。
- 案件の進捗管理:案件の進捗状況を定期的に確認し、滞りなく進められるようにサポートします。スケジュールの調整や課題の解決に向けて、関係部署と連携しながら対応していきます。
- 納品後のフォローアップ:納品後も顧客との関係を継続的に維持します。満足度の確認や追加ニーズの把握に努め、次の案件につなげていくことが大切です。
- 顧客の声の活用:満足度調査やインタビューで顧客の評価を把握し、サービス改善に役立てます。顧客視点でビジネスを磨き上げ、ファンを増やしていくことが重要です。
顧客管理の核心は、単発の取引で終わらせないことです。顧客との絆を深め、信頼関係を築くことが、安定成長の鍵を握ります。
顧客に売り込むのではなく、顧客の成功をサポートし、Win-Winの関係を築く考え方が大切です。一方的な営業は逆効果となることを肝に銘じておきましょう。
2-5. ツールを活用した情報共有とデータ分析を進める
5つめのアプローチは「ツールを活用した情報共有とデータ分析を進める」です。
営業管理をより効果的に進めるには、ITツールの活用が欠かせません。情報共有とデータ分析の観点から、ツール活用のポイントを解説します。
【営業管理に役立つツールの例】
- SFA(Sales Force Automation:営業支援システム):営業活動の見える化や行動管理を支援するツールです。スケジュール管理や案件管理、レポート作成など、営業の業務効率化に役立ちます。
- CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理):顧客情報を一元管理し、関係構築を支えるツールです。問い合わせ対応や販促活動、データ分析など、顧客対応の最適化に寄与します。
- MA(Marketing Automation:マーケティングオートメーション):リードジェネレーション(潜在顧客の発掘と獲得のプロセス)や見込み客の育成を自動化するマーケティングツールです。営業部門との連携により、効率的な売上創出を実現できます。
- BI(Business Intelligence:ビジネスインテリジェンス):データの可視化と分析を通じて意思決定を支援するツールです。売上データや顧客データを多角的に分析し、施策立案や予測に役立ちます。
- コミュニケーションツール:チャットやWeb会議など、社内外のコミュニケーションを円滑化するツールです。リモートワーク下でも、スムーズな情報共有とコラボレーションを実現します。
これらのツールを有効活用すると、営業活動のスピードとクオリティを高めることが可能です。 営業管理において、とくに重要なのは「SFA」と「CRM」です。
具体的なツールの選び方や活用については、以下で詳しく見ていくことにしましょう。
3. 営業管理に役立つツールの選び方と活用法
営業管理に役立つツールは数多くありますが、自社に合ったツールを選ぶことが重要です。ここでは、ツール選定の考え方と、代表的なツールの特徴を解説します。
- SFAとCRMの違いと基本機能
- 代表的なSFA・CRMツール
- 中小企業におすすめしたい開発サービス
3-1. SFAとCRMの違いと基本機能
営業管理と顧客管理に欠かせないツールが、「SFA」と「CRM」です。まずは、両者の違いを理解しておきましょう。
【SFAとCRMの違い】
- SFA(Sales Force Automation:営業支援システム):営業活動における内部プロセスの効率化に主眼を置いたツールです。案件管理はもちろん、社内の情報共有や業務の見える化、行動管理などに活用します。
- CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理):顧客との関係構築に重きを置いたツールです。顧客接点の管理や、顧客データの分析、コミュニケーションの最適化などに有用です。
近年では、CRMを中心として、SFAやMAなどのツールを連携させるケースが増えています。あるいは、SFAとCRMの境界線が曖昧になり、両方の機能を統合したツールも多く存在します。
混乱しやすい部分のため補足すると、CRM・SFAと、前述のMAは、1990年代から2000年代前半にかけて、それぞれ独立したツールとして登場しました。
2010年代に入ると、これらのツールを連携させ、データを一元管理するトレンドが加速しました。とくに、CRMを中核とし、SFAやMAの機能を連携できる設計のシステムの登場が顕著です。
具体的なツールは、以下に続きます。
3-2. 代表的なSFA・CRMツール
以下は代表的なSFA・CRMツールです。
【代表的なSFA・CRMツール3選】
- Salesforce Sales Cloud:世界シェアNo.1のCRMツールで、SFA機能も標準で備えています。AIを活用した営業活動の自動化や、モバイルアプリでの利便性が魅力です。より高度なマーケティング自動化機能は、別製品のMarketing Cloudとの連携により実現可能です。
- Microsoft Dynamics 365 Sales:Office 365との連携が容易で、Teamsとの統合も強みです。営業データの可視化や、チームセリング(チームによる営業活動)の最適化などに役立ちます。CRM機能とSFA機能がシームレスに統合されており、顧客管理と営業活動管理を一元的に行えます。
- HubSpot Sales Hub:SFA(営業支援)に特化したツールで、営業活動の効率化に寄与します。無料のHubSpot CRMと連携させて、顧客管理機能も利用可能です。マーケティング機能との連携も強みのひとつです。
3-3. 中小企業におすすめしたい開発サービス
「どのツールを導入すればよいか?」と考えるとき、中小企業の場合には、注意したいポイントがあります。
中小企業が営業管理システムを導入する際には、既成のパッケージシステムをそのまま採用すると、大企業向けの機能が多く含まれ、使い勝手が悪くなるケースが少なくありません。
【中小企業が営業管理システムを導入する際に直面しやすい課題】
- 機能の過剰性:大企業向けのパッケージシステムには、中小企業にとって不要な機能が多く含まれています。使わない機能が多いと、システムが複雑になり、運用コストが高くなります。
- カスタマイズの困難さ:パッケージシステムは、自社の業務プロセスに合わせたカスタマイズが難しいケースがあります。業務に合わないシステムを無理に使うと、現場の生産性が低下します。
- コストの高さ:大企業向けのシステムは、初期導入コストや保守費用が高額になりがちです。中小企業にとっては、大きな経済的負担となります。
そこで、限られた予算内で最大限の成果を得るためには、自社に必要な機能だけに絞った専用システムの開発が有効です。
必要な機能だけを盛り込んだシンプルなシステムは、導入コストを抑えつつ、使いやすさと生産性の向上を実現します。
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4. 営業管理を成功させる重要ポイント
最後に、 営業管理を真に成功させる重要ポイントを4つ、お伝えします。
- システム導入前に業務の棚卸しを行う
- 全社的な営業マインドを醸成する
- 営業管理のPDCAサイクルを回す
- 専門家のサポートを受ける
4-1. システム導入前に業務の棚卸しを行う
1つめのポイントは「システム導入前に業務の棚卸しを行う」です。
営業管理を正しく行うためには、まず現状の業務内容をしっかりと棚卸しすることが不可欠です。自社の営業プロセスを可視化し、課題を明確にすることなくして、効果的な営業管理手法の確立は望めません。
【棚卸しのポイント】
- 営業プロセスの整理:現在の営業活動の流れを、リードの獲得から受注・納品に至るまで、フロー図で詳細に可視化します。各ステップで行われている業務内容を漏れなく洗い出すことが大切です。
- 問題点の特定:可視化したフローを分析し、非効率な作業、情報の断絶、責任の不明確さなどの問題点を特定します。改善すべき点を明らかにすることが、営業管理手法確立の第一歩となります。
- 課題の優先順位付け:抽出した課題を、影響度や解決の難易度などを基準に優先順位付けします。優先度の高い課題から着手すれば、効率的な改善を進められます。
業務の棚卸しを行わずに、安易に営業管理手法の導入を図っても、期待する成果は得られません。現状を正しく認識し、課題を明確化してこそ、自社に最適な営業管理のあり方が見えてきます。
4-2. 全社的な営業マインドを醸成する
2つめのポイントは「全社的な営業マインドを醸成する」です。
営業管理を成功させるには、営業部門だけでなく、組織全体に営業マインドを浸透させることが重要です。全社一丸となって営業活動を支える体制を構築することが求められます。
【全社的な営業マインド醸成のポイント】
- 営業の価値を全社で共有:営業が企業の成長を牽引する重要な機能であることを、全社で再認識します。営業の目標と成果を見える化し、社内の理解と協力を得ることが大切です。
- 従業員全員が営業の当事者に:営業は営業部門だけの仕事ではありません。従業員一人ひとりが、営業の当事者意識を持つことが重要です。自らの仕事が営業活動とどう結びつくのか、意識を高めていきます。
- 部門間の壁を取り払う:営業と他部門の交流を活性化し、縦割りの弊害を排除します。営業現場の生の声を社内で共有し、部門の垣根を越えて課題解決に取り組む風土を醸成します。
組織全体で営業活動を支え、顧客志向の価値観を共有することが、営業管理の成功の鍵を握ります。部門の壁を越えて、知恵を出し合える組織風土を育んでいきましょう。
4-3. 営業管理のPDCAサイクルを回す
3つめのポイントは「営業管理のPDCAサイクルを回す」です。
営業管理の仕組みを構築したら、それで完了ではありません。環境変化に合わせて営業管理手法を進化させ続ける必要があるからです。そのためには、PDCAサイクルを回し続けることが欠かせません。
【営業管理のPDCAサイクル実践のポイント】
- 目標設定(Plan):営業目標を現場の実情を踏まえて設定します。トップダウンとボトムアップのすり合わせを丁寧に行い、現場の納得感を醸成することが大切です。
- 実行と記録(Do):日々の営業活動を着実に遂行するとともに、活動内容を正確に記録します。報告の習慣化を図り、データの精度を高めていきましょう。
- モニタリングと評価(Check):定量・定性の両面から営業活動を多角的に評価します。計画と実績の差異を分析し、要因を探ると同時に、好事例から学ぶことが大切です。
- 改善と最適化(Act):評価で得られた示唆をもとに、営業プロセスの改善を図ります。効果が認められた施策は標準化し、低効率な活動は思い切ってカットすることも必要です。
- PDCAのスパイラルアップ:PDCAを一過性のものに終わらせず、スパイラルアップを目指します。営業管理手法そのものを進化させ続け、環境変化に適応し続けることが重要です。
PDCAを回すには、現場の主体性が鍵を握ります。営業担当者自らが改善を主導する意識を根付かせることが成功の秘訣といえるでしょう。
4-4. 専門家のサポートを受ける
4つめのポイントは「専門家のサポートを受ける」です。
営業管理の仕組みづくりは、簡単なことではありません。専門的な知見やスキルが求められることも多く、社内だけでは行き詰まるケースもあります。
そのようなときは、専門家のサポートを受けるのも有効な選択肢です。
【外部専門家に相談するメリット】
- 客観的な診断:自社の営業活動を俯瞰的に評価してもらえます。内部では気づきにくい課題や改善点を指摘してもらえるのは大きなメリットです。
- 他社事例の知見:他社の優れた営業管理手法を学べます。業界の垣根を越えたナレッジの吸収により、自社の営業管理を進化させるヒントが得られるでしょう。
- スムーズな導入:ツールの選定や、運用体制の整備など、導入のプロセスを円滑に進められます。プロジェクト管理の負担を軽減し、スピーディな立ち上げが可能になります。
- トラブルシューティング:ツールの不具合や、運用上の課題にも、適切なアドバイスが得られます。専門家の知見を借りると、問題解決を加速できるはずです。
- 伴走型のサポート:単なる一時的なコンサルティングではなく、伴走型のサポートも有益です。営業管理の定着や、PDCAサイクルの実践を、中長期的に支援してもらえます。
専門家を活用すると、営業管理の実践を加速できるでしょう。
中小企業の営業管理については、お気軽に中小企業DX研究所までご相談ください。
5. まとめ
本記事では「営業管理」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。
最初に、営業管理の基礎知識として以下を解説しました。
- 営業管理とは、営業活動を組織的に計画・実行・評価・改善していくプロセス
- 適切な営業管理は、多大な組織的メリットにつながる
- 営業管理を効果的に実践するには可視化・標準化・効率化という3つの基本要素を押さえる
効果的な営業管理の5つの基本アプローチは、以下のとおりです。
- 目標管理でモチベーションを高める
- 案件管理で受注確度の高い営業活動を実現する
- 行動管理で無駄のない営業プロセスを構築する
- 顧客管理で継続的な売上を生み出す
- ツールを活用した情報共有とデータ分析を進める
営業管理に役立つツールの選び方と活用法として、以下を解説しました。
- SFAとCRMが営業管理の基本ツールとなる
- 中小企業の場合は自社専用システムの構築が有効
営業管理を成功させる重要ポイントは、以下のとおりです。
- システム導入前に業務の棚卸しを行う
- 全社的な営業マインドを醸成する
- 営業管理のPDCAサイクルを回す
- 専門家のサポートを受ける
営業管理は、営業活動を組織的に最適化し、企業の成長を加速するための重要な経営基盤です。本記事で解説した考え方やアプローチを参考に、自社の営業スタイルに合った営業管理を実践していただければ幸いです。
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