
【この記事で分かること】
- アニメツーリズムとはそもそも何か
- アニメツーリズムの地域活性化・経済効果はどうか
- アニメツーリズムの事例・課題・デメリット
皆さん、お疲れさまです!こちらは、地方行政サミット事務局です!
本日は、アニメツーリズムについて、取り上げて、お話をさせていただこうと思います。

魅力的な取組だけど、いろんな課題があるみたいだにゃ。
そもそもアニメツーリズムとは
アニメツーリズムとは、アニメやマンガの舞台となった場所を巡る観光のことです。
近年、日本国内外を問わず、アニメやマンガに登場する架空の街や風景が実在の地域になぞられたり、実在の地域が作品の舞台として取り上げられることで、その地域の観光が活性化する傾向があります。
これまでの観光資源といえば、どちらかというと歴史・文化など、「過去」にフォーカスを当てたものが多かったですが、このアニメツーリズムは、現在進行形またはそれに近い時期に話題になったマンガ・アニメを観光資源として見ている点において、これまでにないタイプの観光政策ということができるでしょう。
アニメツーリズムの特徴
さて、そんなアニメツーリズム、どのような特徴があるのでしょうか。
作品の舞台や作家ゆかりの地を直に見られる感動
アニメツーリズムでは、作品の舞台となった場所や、作家が生まれ育った地・あるいは現に活動している地を訪問することが一般的です。
作品によっては、そのものずばりの場所が描かれていることもありますし、また作家が生まれ育った地・活動している地であれば、「なるほど、この作品は、こういう場所で描かれているのか」と、感動を得ることが出来ます。
また、自治体によっては、作家を顕彰する博物館等を設置している場合もあり、そういったところで作家の活動を感じ、学ぶことができます。
観光資源の作品化に伴う観光客の誘致
先述のように、作品の舞台になった場所であったり、あるいは作家を顕彰する博物館等は、地域にとって、強力な観光資源となったりします。
そういった観光資源は、新たな観光客の呼びこみにつながります。
特に、これまでこれといった観光資源がなかった地域にとっては、こういった形で観光資源が得られる要になったタイミングは、観光政策に力を入れる千載一遇のチャンスです。
ファンの交流を通じた地域の活性化
アニメ・マンガやその作家をテーマにした観光資源が確立され、観光客が増えると、その観光客同士での交流が始まったりすることもあります。
「え、そんなことあるの?」とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、何と言ってもここに集まっているのは、同じ作品を「推す」仲間同士。仲良くなるのに、時間はかかりません。
こういった形でファン同士の交流が始まり、そしてその交流が地元の人たちとつながると、一過性の観光政策に終わらない、地域に根付いた活性化の取組につながっていくことにあります。
ただし、この動きについては、地域によっては地元住民とのあつれきにつながる可能性があることにも、留意が必要です。



スラムダンクの聖地となった鎌倉市の踏切で、そんなことがありましたよね…
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アニメツーリズムの事例
それでは、ここで、いくつか、アニメツーリズムの事例をご紹介していきましょう。
【川崎市】藤子・F・不二雄ミュージアムは全国的な知名度!
まず最初にご紹介するのは、川崎市の藤子・F・不二雄ミュージアムです。
「ドラえもん」や「エスパー魔美」、「キテレツ大百科」など、数多くのマンガ・アニメでおなじみ、藤子・F・不二雄氏ですが、氏は川崎市に住んでおり、亡くなった後、ご遺族が「原画等を多くの人に見てほしい」との意向を示され、これを受けて整備されたのが藤子・F・不二雄ミュージアム。
現在は、川崎市の公共施設となり、藤子プロが指定管理者となる形で運営されています。
ドラえもんはじめ藤子・F・不二雄作品のファンなら楽しめること間違い無しの原画・展示の数々、そして充実したグッズ販売が魅力です。
【東京都世田谷区】サザエさんゆかりの地!
東京都世田谷区の桜新町は、「サザエさんゆかりの地」として知られています。
これは、サザエさんの原作者・長谷川町子さんが東京都世田谷区に住んでいたため。実際、アニメ「サザエさん」で描かれているサザエさんの街並みは、この世田谷区がモチーフになっていると言われています。
東急田園都市線の桜新町駅を下りると、サザエさんや波平など、おなじみのキャラクターの銅像がお出迎え。
「サザエさん通り」と呼ばれる道を進むと、長谷川町子氏が設立した「長谷川町子美術館」があります。
まち全体がサザエさんを愛している感じがして、とても魅力的なエリアです。
【東京都葛飾区】こち亀の「亀有公園前派出所」はないけれど…
続いて、地名を冠したマンガとして有名な「こちら葛飾区亀有公園前派出所」、通称「こち亀」。長期にわたって連載され、世代を超えて愛される名作です。
もちろん舞台は葛飾区ですが、この作品のタイトルである「亀有公園前派出所」というのが本当にあるのか、というのは多くの人が気になるところ。
そこでJR亀有駅で下り、歩いて亀有公園に向かってみると…道中には、こちらも登場人物の銅像が置かれています。
両さん、中川、麗子、本田…おなじみのキャラクターの銅像に、ほっこりします、
そして5分ほど歩いた先にあるのが、亀有公園。しかし、実は「亀有公園」の横に、派出所(交番)はありません。
実はこの「亀有公園前派出所は存在しない」というのは、古くから意外と知られた小ネタではあるのですが、多くの人が「こち亀」の世界観を求めて来訪していたためか、2010年ごろ、公園内にこち亀の看板が置かれたり、銅像が置かれたりするようになりました。
こちらも、まちを上げて「こち亀」を応援しようという雰囲気がよく伝わってきており、非常に面白い雰囲気になっています。
アニメツーリズムの課題
このように、アニメツーリズムについては、非常に魅力的な取組となる一方で、アニメツーリズムにはいくつかの課題も存在します。
どのような課題があるのか、見ていきましょう。



アニメツーリズムの課題は、アニメに遠慮してあまり語られないけど、自治体の現場はかなりいろいろあるのにゃ。
地域住民とのあつれきが生じる
先ほども少し述べましたが、アニメツーリズムで観光客が増えると、地域活性化効果が見込める一方で、アニメに関係なく、日々を静かに過ごしている地元住民とのあつれきが生じることは、往々にしてあります。
その背景には、慣れない大勢の来訪者に地域が戸惑っていることに加え、観光客のマナーが良くなく、地域に迷惑を掛けてしまっている…といった事情もあります。
アニメツーリズムに限らず、最近は多くの観光名所で、観光客が増えすぎたことに伴う弊害…いわゆる「オーバーツーリズム問題」がクローズアップされていますが、このアニメツーリズムに関しては特にこの傾向が顕著に出る印象がありますね。
権利関係の整理が難しい
アニメツーリズムの展開において、実務的に結構問題になりがちなのが、「権利関係の整理」です。
アニメツーリズムの対象になるような人気作品は、多くの場合メディアミックスが展開されているでしょうから、「原作マンガ」「アニメ」「関連作品等」といった具合に、さまざまな作品が世に出されています。
一方で、アニメツーリズムを実施する場合、これらの権利関係をしっかり整理して、「原作とアニメ等との権利関係がどうなっているか」「原作とアニメ等に違いはないか」などを、事務方はきっちり押さえておく必要があります。
このあたりの権利関係の整理がいい加減だと、後でトラブルになったり、作家さんとの信頼関係が崩壊してしまったりしまいかねません。
なお、アニメツーリズムに取り組む場合、作家さんが非常に重要な存在となりますが、過度に作家さんに気を遣いすぎてしまうがあまり、自治体と作家が癒着状態に陥り、コンプライアンスの視点において危ない関係になってしまう事例もあると聞きます。
作家さんを大事にすることが大事なのは言うまでもありませんが、作家と自治体、あるいは作家と担当者が健全な関係のもとで取組を進めていくことも、同じくらい重要な視点です。



ここに挙げた事例ではないけれど、作家さんと職員が癒着してしまい、それが原因でトラブルになっている自治体はあるみたいだにゃ…



影響力のある作家さんが癒着した職員をかばったりすると、解決が一気に難しくなっちゃうんだよね。議会や監査で大事になる前に解決してほしいけど…
まとめ
以上、本日は、「アニメツーリズム」に着目し、その効果や具体例、そして課題について、整理をさせていただきましたが、いかがでしょうか?
アニメツーリズムは、多くの人にとって親しみやすく、それゆえに成功すると、地域活性化や観光政策において、非常に大きな起爆剤となって機能します。
実際、川崎市や東京都世田谷区・川崎区などは、アニメツーリズムでまちに新たな魅力を生み出すことに成功しています。
一方で、アニメツーリズムの爆発力が強すぎるがゆえか、地域住民とのあつれきが生じてしまったり、また権利関係の整理や作家との関係で苦労したりする話も聞こえてきたりするなど、良いことばかりではないのも事実です。
とはいえ、こういった課題を乗り越えれば、アニメツーリズムの大きなメリットを引き出しきれるのも、また事実。
観光客の立場では、お気に入りの作品をテーマにしたアニメツーリズムの取組を探す喜び。
地域の立場では、アニメツーリズムをきっかけにした地域活性化や観光振興への期待。
行政の立場では、アニメツーリズムによる新たな政策展開。 それぞれの立場の人たちが、思いを一つにして、新たなアニメツーリズムが展開されることを、心より願っています。