
【この記事で分かること】
- 自治体における秘書室・秘書課の業務
- 秘書室長・秘書課長にかかるプレッシャー
- 秘書室長・秘書課長が横柄な態度をとる背景
皆さん、お疲れさまです!こちらは、地方行政サミット事務局です!
本日は、各自治体の秘書室長・秘書課長が横柄な態度を取りがちな現象について、なぜそうなってしまうのかを取り上げて、お話をさせていただこうと思います。

これ、どこの自治体でも、かなり「あるある」らしいのにゃ。
そもそも秘書室・秘書課とはどんな部署なのか
一定規模以上の自治体なら、どこでも置かれているであろう、秘書室・秘書課という組織。
多くの場合、秘書室・秘書課(以下、特段の理由がない限り、単に「秘書課」といいます)では、次のような業務を所管しています。
【業務①】首長の秘書
秘書課の一番の仕事は、なんといっても首長の秘書業務。
都道府県であれば知事の、市町村であれば市町村長の日程管理や外出先へのアテンド、あいさつ文の作成、公用車の管理、その他あらゆるロジ関係の業務をこなします。
大規模な自治体であれば、首長秘書の業務は質・量ともに膨大となるため、「首長秘書担当係」といった形のチームが組まれ、チームで秘書業務をこなすことになります。
なお、秘書業務は、知事や市町村長だけでなく、副知事や副市町村長にかかるものについても、同様に遂行され、規模によってはチームが組まれることもあります。


【業務②】儀礼・式典の遂行
各自治体において、首長名義で行う表彰や、式典などが行われたりすることがあると思いますが、こういった表彰や儀礼等の窓口となるのも秘書課です。
これらについては、一般的な秘書業務とは異なりますが、首長名義で行われる大きな行事であるがゆえに、秘書課において所管されることが多いです。
また、後援名義の使用承認や、自治体宛て寄附の総括なども秘書課で行われることが多いです。
【業務③】知事会・市長会・町村会の対応
これは自治体によっては企画担当課で対応しているところもありますが、都道府県であれば知事会、市町村であれば市長会や町村会のカウンターパートとなっているのも、秘書課であることが多いです。
会への出席などといったロジ周りはもちろんのこと、知事会・市長会・町村会に提出する要望・提言の調整なども、秘書課で担っていることがあります。
また、これらについては秘書課で取り組む場合でも、秘書課との連携が必須となることから、秘書課の中に政策秘書的なチームを作って対応していたりすることも多いです。
秘書室長・秘書課長はなぜ横柄になるのか
このように、秘書課というのは、首長の業務に直接的に影響する職務が非常に多いことから、非常に責任が重大な部署です。
そして、その秘書課を統括するのが、秘書課長であり、秘書室内に複数の部署を置いている部署であれば、その上席として秘書室長を置いていることがあります。



秘書課を部相当組織としている場合の名称は、秘書室、秘書部、知事公室など、いくつかのパターンがあるけど、「秘書室」と「室」にしているパターンが多いイメージがあるにゃ。



特に理論的な根拠はないんですが、なんとなく「部」より「室」がしっくり来る気がするんですよね。
ところが、この秘書課長や上席の秘書室長について、



なんであんなにえらそうなんだ!



一体、何様のつもり?
と、庁内の他部署の職員から、非難囂々であるという話を、さまざまな自治体でよく聞きます。
なぜ、秘書室長・秘書課長というのは、このように横柄で、偉そうになってしまうのでしょうか。
【理由①】首長から直々にプレッシャーをかけられている
秘書室長・秘書課長は、多くの場合、首長から直接さまざまな指示を飛ばされますが、その指示の中には対応が困難なものも多く、秘書室長・秘書課長はかなりのプレッシャーのもとで業務に取り組んでいます。
そして、そのプレッシャーの中で、なんとか仕事をこなそうと必死になる中、つい他部署職員への当たりがキツくなってしまう…という話は、非常によく聞きます。
さまざまな自治体で首長のパワハラが指摘されていますが、もし首長にハラスメント癖があった場合、その被害を真っ先に受けるのは秘書室長・秘書課長なわけですから、そのストレスは相当なものなのでしょう。
【理由②】日程管理が厳しくストレスに
首長は、庁内打合せから外部への出張まで、非常にさまざまな公務をこなすことになります。
そして、首長に用のある人は非常に多いので、スケジュールがすぐに埋まってしまい、首長の日程は多忙になってしまうし、他に大事な用があっても断らなくてはいけなくなるしと、この日程管理が非常にストレスになります。


内外問わず、さまざまな人たちから、



知事に至急報告したい案件があるので、15分でいいから時間をください



弊社の社長が知事と面談したいとのことで、お伺いする日程調整をさせていただきたいのです
のように、矢継ぎ早に日程確保を求められるわけですが、現実問題として時間は有限なわけですので、これらにすべて対応することはできませんが、かといって優先順位をつけて対応の順番を決めるのも困難…。
この日程管理のストレスから、スケジュールの相談に来た他部署の職員に当たり散らすというのも、さまざまな自治体で非常によく見られる光景です。



うちの秘書課でも、日程の相談に来た他部署の課長が秘書課長によく怒鳴られてます…



なんで怒鳴るのか…理解できないにゃ
【理由③】首長の権限を笠に着て勘違いしてしまっている
これまで述べた【理由①】【理由②】は、秘書室長・秘書課長の方にも同情できる余地があるのですが、全く同情の出来ない理由として、この
秘書室長・秘書課長が、首長の権限を笠に着て勘違いしてしまっている
というものがあります。
秘書室長・秘書課長は、首長のそばで仕事をする幹部職員ということになりますので、首長が人事異動を考えるときに、お気に入りの職員を置きたがります。
そして、そこに配置された秘書室長・秘書課長は、首長のそばでかわいがられながら仕事をすることによって、いつしか



自分は首長のお気に入りなんだから、もはや首長の代理も同然!
などと勘違いして、首長の権限を笠に着た態度をとるようになります。


一介の室課長に過ぎない職員なのに、他部署の職員に「首長がこう言っていますから」と横柄な態度で仕事の指示をしたり、「忙しいからお前と話す暇はない」と、相談に来た職員を冷たくあしらったり…
こういう、横柄な態度をとる秘書室長・秘書課長は、得てして、「自分は首長にかわいがられている」「自分には特別な権限がある」という思い上がりがあったりするのです。
しかし、言うまでもなく、秘書室長・秘書課長は、役所内にあるポストのうちの1つにすぎず、今はたまたま人事配置でそこにいるだけであり、そのうち異動して、別の部署に行かされることになります。
しかし、そうやって異動してしまえば、首長の権限を笠に着た態度は取れなくなってしまうわけですから、そのような秘書室長・秘書課長は、きっと異動後に、周りの職員たちの嫌われ者になってしまうことでしょう。



秘書課の権限を強くすればするほど、秘書課長の態度が横柄になる印象がありますね。



権限を持つと、人はえらそうになる…歴史の中で、幾度となく繰り返されてきた現象だよね。
まとめ
以上、本日は、秘書室長・秘書課長が横柄な態度をとってしまう理由について考察いたしましたが、いかがだったでしょうか?
秘書室長・秘書課長は、多忙な首長を支えるという、とても大事な職務を総括しているわけですが、一方でそのプレッシャーから、他部署職員への当たりがキツくなったりすることもあります。
また、首長に可愛がられながら権限を行使することができるため、どうしても「権力を笠に着た、横柄な態度」というものが出てしまう人が多いのも事実です。
一方で、秘書室長・秘書課長も、たまたまその役割が与えられただけであって、人事異動とともにその権限はいずれ消失します。
そうなったときに、周りの職員たちからの信頼を失わないためにも、人として必要な礼節を保ちながら、周りの職員や利害関係者とうまくやるスキルが必要になるんだと思います。
秘書室長・秘書課長が大変な職務だと言うことは、多くの人が理解しています。だからこそ、横柄な態度を取ることなく、お互いが気持ち良く仕事を出来るようにすることは、秘書課と原課の…ひいては首長と原課の信頼関係を構築する上で、絶対に必要なことだと言えるでしょう。